日本と外国のハーフ、外国籍の子で、日本語と外国語をどっちとも話せる子っていますよね。
「両親が日常的に日本語も外国語も話す環境にいるから、両方同時に喋れるようになったんだ~」という人、学年に1人か2人かいたのではないでしょうか。
私は子供の時、そのような人達を「いいな~、両方喋れて」と思っている側でした。
しかし、彼等は本当に苦労もせず有利な人生を送っているのでしょうか。
大学生活や留学を経験し考えが変わったのでそれを記しておきます。
留学時代 そして就活
私の留学時代の友人で、台湾人で中国語と日本語、そして英語まで話せる友人がいます。
彼女はなんと3か国語も話せるトリリンガル。
留学時代はほぼずっと一緒にいるほど仲良しでした。彼女は幼少期から中学校まで、日本と台湾を行き来し、高校と大学は日本、という慌ただしい子供時代を送っていました。
大学4年の時、就活が始まり「彼女なら余裕で内定貰いまくりなんだろうな~」と思っていました。
LINEで頻繁に近況報告をする中、なんと、彼女は内定を一つも貰えなかったのです。
え…一つも!?!?
これにはビックリして、最初は私も「大手ばっかり狙いすぎなんだよ!笑」とか、「そんなに数受けてないんじゃない~?」とか言っていましたが、ある時、こんなニュースを目にしました。
「英語ができても仕事ができない人材は採用しない」
例えば、日本とアメリカのハーフで、幼い頃から日本語も英語も喋ってきたけど、「日本語も英語もしっかりしてないなコイツ…。」と思われてしまうと不採用だそうです。
バイリンガルやトリリンガルでも、どっちつかずと判断されてしまうと企業で採用されないということですね。
確かに、彼女は日本語があやふやな時がたまにありました。英語も学校で覚えて勉強してきたので、ネイティブクラスとは言えません。
そんな彼女、結局日本での就職は断念して台湾の会社に就職しました。
確かに、私は今まで2つの会社を経験しているのですが、生まれつきのバイリンガルやトリリンガルの人で優秀な人を見たことがありません。
私の周りでは優秀な人は皆、物心ついた時期から自分で勉強して語学を習得していました。
* もちろん、世の中にはバイリンガル・トリリンガルで優秀な人はいると思いますよ!
「林先生が驚く初耳学!」でおなじみ、林先生によると、ある有名な企業の採用基準として、「英語も仕事もできる」「英語はできないが仕事はできる」「英語はできるが仕事ができない」「英語も仕事もできない」の4分類された学生がどの順番で採用されるかという話題になり、この順番になりました。
- 英語も仕事もできる
- 英語はできないが仕事はできる
- 英語も仕事もできない
- 英語はできるが仕事ができない
この結果を見てビックリする方は多いと思います。③と④、逆じゃない!?と私も思いました。
しかし、「英語が出来る=仕事ができる」と勘違いしてしまう学生は一番使い物にならないのだそうです。
企業にもよると思いますが、日本の企業は、何にもできないけど顕著で真っさらな学生の方が鍛えがいがあるのだそうです。これが仕事で英語をバリバリ使う会社なら別だと思います。
英語力よりも思考力
林先生によると、「英語力」よりも「思考力」が必要だということですが、これには私も大賛成です。
人は幼少期に周りの人が話す言語を聞いて、思考する言語を身に着けます。
例えば「お腹すいた」「トイレ行きたい」「あのおもちゃが欲しい」など、日本語で考えるか英語で考えるか、ということですね。
これが幼少期に色々な言語を日常的に聞いていると、思考する言語が定まらず論理的思考が身につかなくなる、ということがあるそうです。
だから幼少期は一つの言語に集中して論理的思考を身に着けた方がいいのです。
日本とフィリピンのハーフなど、日常で2か国以上使う家庭も、赤ちゃんに教えるのは大体どっちかの言語です。
子供が英会話を習っている、もしくはこれから習わせたい保護者様、安心してください。
週1回や2回、30分ほどの英語では論理的思考は身につきません。英語が積み重なって英語で思考するようになるのは、もう少し大きくなってからです。
私が英会話スクールで働いていたとき、子供にバイリンガルになってほしいとのことで、日本語も英語も使うお母さんがいました。
ご両親は日本人で、簡単な英語なら喋れるということで「No!」「Stop!」「Don’t do that!」「Take off your shoes!」など幼稚園生のお子さんにお声がけしていました。
しかし、その子、日本語も英語もほとんど話しませんでした。ぜんっぜん喋らないなこの子。。。という印象でした。
きっと、日本語も英語も両方言われると思考する言語が定まらないのでしょう。そもそも、日本で日本人の親が英語で子育てするのは少々無理があると思います。
将来、お子さんが海外で活躍できるように英語を話せるようになってほしいな~と思うご両親の方、子供に中途半端な英語を使って子育てするのはやめましょう。
英語の歌を歌ったり、オンライン英会話をやるのは賛成です。思考する言語は日本語で、そこにプラスで英語という楽しい遊びが加わるのは良いことです。
実際に幼少期から英語に触れる機会があると、発音も良くなりますし、リスニング力も良くなります。
生まれつきのバイリンガル・トリリンガルの苦労
話が逸れましたね。生まれつきのバイリンガルやトリリンガルの大変さの話に戻ります。
一般的に羨ましがられるバイリンガルやトリリンガルですが、そんなに楽に2か国語3か国語話せるようになったわけではありません。
留学時代の台湾の彼女も、小学校の時が人生で一番勉強をして辛い時期だったと言っていました。
日本と台湾を行き来し、「台湾では算数ここまでしかやっていないよ…日本の算数の授業わからない…」「日本語も中国語も勉強しなきゃ!」と、色々苦労をしたそうです。
勉強せずに話せるようになっていいな~と思いがちですが、彼らは実は血がにじむような努力をして必死に勉強しているのです。
他にもヨーロッパ系の友人は4か国語、5か国語話せる友人までいます。
日本は小さな島国なので、日本語以外も話せる人がいたらスゴイ!となりがちですが、海外には意外と結構います。
5か国語話せる友人は、貧しい国の出身ですが、カナダに住むために語学を片っ端から勉強したと言っていました。
ある意味、日本人は日本語だけで生きていけるので恵まれているのかもしれません。
まとめ

語学を学んでいると、誰もが幼い頃から環境で育ったバイリンガルを羨ましがります。
しかし、他人の苦労は他人にしかわかりません。自分の人生は自分にしか歩めないのです。
自分の子に日本語と英語のバイリンガルになってほしいと思っても、下手に英語と日本語が混じった育て方をしても、論理的思考が育たなくなるだけです。
日本語以外の言語もできることが、必ずしも人生に絶対有利なわけではありません。
特に年配の方に多いのが、英語が出来る=優秀という英語絶対神話です。
英語ができても、他の事が出来なければ英語を使って何もできないですよね。
お子さんの好きなこと・得意なことを見つけて一緒に応援してあげましょう。